記憶の糸-幼き時間-(仮題

「後でFAXで送っとくって"アイツ"に言っといて」

「"あの人"今頃キレてますよ。」

「あーこわっ」

アキの父は編集者、美久の母は小説家。

ここ数年急成長した作家である。

「ねぇお母さん、まだ出来てないの?
剛さん困ってるんじゃない?」

美久が口を挟む。

剛(ツヨシ)とはアキの父のこと。

「いいの、うちと剛の仲だからさ。
アキ君ごはん食べてきな」

アキが

「はい!」

即返事した。