「今どきの女子高生は写真とか撮ったりするの好きじゃない?」


「それは一部だと思う……私みたいな人もいるよ。私って陰キャだし」


「雨音は自分で思ってるほど陰キャじゃないと思うよ。だって、クラスや他の男から好意を抱かれてたりするし」


「私、告白なんてされたことないんだけど」


片桐くんが私を元気づけようとしてくれるのは十分伝わるんだけど、あからさまな嘘をつかれると私も微妙な気持ちになる。


「それは、雨音が気付いてないだけ。
それに、無理に笑う必要はないから」


「そ、それなら……いいよ。でも、後悔しないでね」


片桐くんに、ここまで言われたら仕方ないと私は折れることにした。


「後悔?何のことかわからないけど、一緒に撮ってくれるってことだよね」


片桐くんは、私が笑顔を作るのが少しだけ苦手だと思っている。


本当は、少しどころじゃないんだけど……まぁ、撮ればわかることだからいっか。


「……雨音がプリクラ撮るの苦手な理由がわかった気がする」


数分後、プリクラを撮った私たちはゲームセンターの中にある椅子に腰をかけていた。


「やっぱり写真写りが……ごめん、片桐くん」


その写真に写っている私は笑うどころか、顔が引きつっていた。


プリクラは加工されると聞いたことがあったけど、加工も何もないくらい可愛くない気がする。


やっぱりカメラは嫌い。
見られてるって感じがして、変に緊張する。
だから自撮りはおろか、写真を撮ることはまずしない。


……そう思うと、こうして誰かと一緒に写真を撮るのって初めてかもしれない。