「ごめん。私、全然気付かなくて……」


「いいんだよ。最初に高校の入学式で声かけたんだけど、覚えていないみたいだったから。でも、雨音が思い出すまでは、黙っておこうと思って。だけど、もう我慢できなくなって話しちゃった」


「……」


どうしよう。今まで本当に気付かなかった。


だって、昔とは全然違っていたから……。


片桐くんは、最初から私だって気付いてたっていうの……?


なんでだろう。
初恋の人が目の前にいるはずなのに。


嬉しいはずなのに、素直に喜べないのは何故?


多分、それは私が望んでいた再会と違うからなんだと思う。


これは自惚れかもしれないけど、幼なじみはずっと一途に、私だけを想ってくれているっておもっていたから。


こんなのは私の理想でしかない。


私も幼なじみに会わない間にずいぶん変わってしまった。


お互いに変わりすぎて、その変化についてこれない私がいるんだ。


たしかに、私の好きな人はここにいる。


目の前にいるはずなのに……私が運命という言葉を嫌いになり、もう迎えが来ないとばかり思っていたから、どうしていいかわからなくなってしまっている。


片桐くんは嬉しそうにしているけど、私は動揺を隠せないでいた。


きっと、この感情は片桐くんに伝わっている。