片桐くんの愛は意外にも一途でした

「ねぇ、仮ってなに?」


「さっきも言わなかった?女の子避けだって。正直、毎日のように告白されるのも困るんだよね。ほら、俺ってモテるじゃん」


「……」


ほら、とか言われても……というか、やっぱりチャラい。


「ただ、九条さんって1人でいるところを見る限り、陰キャって感じだし。男子と交際とかしたことないよね?具体的に男女のカップルが何するかとかわからないでしょ?……成績も勝てなければ、恋愛についても何も知らないんだね」


天才とか、そういうのは言われ慣れた。けど、煽ってくる言葉をかけられるのはムカつく。


たしかに年齢=恋人いないのは間違いないけど、それを他人からああだこうだ言われるのは嫌だ。


挑発されてるんだろうか、馬鹿にされてる?


……この喧嘩、乗るべきだろうか。私が頭の中であれこれ悶々としていると、


「九条さんは、ここで少し待っててくれる?あと、もう何も食べない?」


唐突にそんなことを聞かれた。


「え、うん。もう食べないけど、なんで?って……もういないし」


私が最後まで言葉を言う前に、店の中に入って行った。


お手洗いかな?なんて思い、しばらく待っていたら、家まで送るよと手を差し出された。