片桐くんの愛は意外にも一途でした

「……」


「学校では、陽キャで通ってる九条さんが外ではメガネなしで、髪もおろしてる。それに加えて、1人で大量のケーキを食べてる……なんてクラスの人が知ったら、どう思うかな?」


これ、もしかしなくても脅されてる?つまり、強制ってことだよね。


……そもそも私に拒否権なんてあるんだろうか。


「誰だっけ?九条さんといつも一緒にいる、たしか……神楽くんだっけ。その彼にもバレたら嫌だよね?」


こんな腹黒い笑顔、学校では見たことがない。


ここは大人しく従っておかないと駄目だと思った。


正直、片桐くんのファンになんて言われるかわからない。けど、1人で寂しい奴って思われる方が100倍いやだし。


「……わかった。なる、片桐くんの彼女に」


「ありがとう。でも、仮だから。彼女のフリだけしてくれたらいいよ。
……これからよろしくね、九条さん」


私は一番見られたくない相手に秘密を握られた。


その日、私はチャラ男の片桐くんの彼女になりました。


ただし、仮だけど。って、仮ってどういうこと?