片桐くんの愛は意外にも一途でした

ちなみにテラス席。


先日、梅雨が明けた。だから、外は少しジメジメして暑い。


だから今の時期、テラス席にはほとんど人がいない。それが落ち着く理由。


神楽と一緒にいる時間も好き。けれど、たまには羽を伸ばしたいときだってある。


「あれ?もしかして、九条さん?」


「!?」


突然、目の前に男子が現れる。


それは、紛れもなく片桐くん本人だった。


私はあまりの衝撃に動けずにいた。なんで、ここに片桐くんがいるの?


毎日のように女子と遊びまくってるのに、今日に限って会うなんて。


「そのお皿の数、すごいね。誰かと一緒に来てたの?」


「え?」


食べ終わったケーキ皿をジーと見つめる片桐くん。


しまった!と思っていたころにはすでに遅くて。


「その反応だと1人みたいだね。しかも、その格好……学校で見る君とは別人みたい」


ニコニコと微笑んでいる。


けど、その笑顔がとてつもなく黒く見えるのは、私の気のせい?