「いや、いやいや困るんだけど突然来られても」
「突然ならこの前だってそうじゃねーか。つーかこれ、オレ様達のライブ」
「あああああああ! プライバシーの侵害! 帰ってよ!」
「お前、オレ様のこと知ってたのかよ」
「君が私の布団を占領していた段階では知りませんでした!」
「は、でもそれからオレ様に惚れて買ったってわけか。やっぱりオレ様は罪な男だな!」
「もうついていけない」


オレ様のソロまで戻してやると勝手にリモコンをいじりだす。
既にテレビの前を陣取られた私は、ため息をつきながらその横に座った。



「……で? 今日は風邪をひいてるようには見えないんですが」
「オレ様はここに住む」
「はい?」
「家賃とか金は払う。だからここに住ませろ」
「いや、あの、私年頃の乙女ですしそんなこと言われても」
「オマエを尋ねるような男がいんのか?」


静寂が訪れる。

なんだその失礼な質問は。しかもマジのトーンで。


「……そりゃいませんけどね」
「なら決まりだな! 今日からここはオレ様の城だぜ」
「勝手に城にしないでよ!」


そんな、将来有望なアイドルと同居とか、しかもこんな横暴な人とか。

……無理だ。絶対、無理だ。


「えっと、有栖くん? さん?」
「怜」
「え?」
「怜でいいっつってんだよ」
「れ、怜……?」
「んだよ」


ぶっきらぼうに答える彼__怜の耳がちょっと赤い。

顔を背けてみないふりをした。私もつられてしまいそうで。