私の彼は上司で10歳年上で転勤が決まりました【完】

「ああ。
 七星は、嫌かもしれない。でも、俺は、例え七星を残して逝くことになっても、それまでは、ずっと七星と一緒にいたい。だから……七星、結婚してくれないか?」

「…………えっ?」

あれ?

別れ話じゃないの?

「だから、七星、結婚しよう」

ほん…とに?

誓くんは優しく微笑んでる。

ほんと…なんだ。

「……はい!」

私は、そのまま誓くんに抱きついた。

嬉しい。

私、今、世界一、幸せかもしれない。

「ありがとう。じゃあ、明日、七星の異動願いを出さなきゃな」

「……えっ?」

異動…願い?

「当たり前だろ?
 七星、結婚しても、別居するつもりか?」

私は、慌てて、ブンブンと首を横に振る。

「明日、七星を婚約者として、名古屋に異動させてくれるように、人事に掛け合うから」

「……うん!」

やっぱり誓くん、大好き!

私は、誓くんの背中に回した腕にギュッと力を込める。

「だから、七星も、明日はなんとしても会社に行かないと」

えっ……

でも、ここ、最終の新幹線の中……

私は、腕をほどいて、誓くんを見上げる。

「誓くん? 途中の駅で降りて引き返せばいい?」

次の停車駅は、どこだろう?

「残念ながら、次の静岡で引き返しても、もう上りの新幹線はないよ。七星が乗るのは、始発」

「始発?」

私は首を傾げた。

「そ。
 始発なら始業時刻に間に合うから」

誓くんは、スマホで時刻表を見せてくれた。

「これからは遠距離になるだろ? 少しでも七星と一緒にいるためには、どうすればいいか、散々時刻表を見て考えたんだ」

確かに時刻表を見ると、名古屋を6時半頃の新幹線に乗れれば、間に合いそうだ。

「これ……」

私は、誓くんを見上げる。

「な? 俺が、金曜の夜に移動して、月曜の朝に帰れば、大丈夫だろ? 出来るだけ、毎週、そうするよ。そしたら、実質全く会えないのは、火・水・木の3日だけ。4日会えれるんだから、週の半分以上だよ」

ほんとだ。すごい!

誓くんが、そんな風に私のことを考えてくれていたことが嬉しい。

私は、誓くんの背中に回した腕に、ギュッと力を込めた。

誓くん、大好き!