クールな野良猫男子には逆らえない。

悠雅のあどけない寝顔を見つめながら、この寝顔も手の温もりも、私だけのものになればいいのに、と密かに思ったけど、すぐにその考えを打ち消した。




仲直りをした私達は、一緒に夕飯を食べてお風呂上がりにはアイスを食べながらベランダから外を眺めた。


都会の明かりに照らされた夜空には星が少なく、僅かに光る星をふたりで数えて、勝手に名前をつけた。


私は子供の頃憧れたお姫様みたいな、外国人風の女性の名前を提案したけど、悠雅に「変だ」と却下された。
だけど、悠雅の提案する名前は「シャトーブリアン」とか「トリュフ」とか食べ物の名前ばかりで、私は「そっちのほうが変だよ」と文句を言った。
悠雅は「高級食材だからいいんだ」とよくわからない理由で頑として譲らず、結局押し負けた私は悠雅の提案した名前を受け入れた。


私は星の名前を口ずさみ、可笑しくなって笑った。
ふと横を見ると、アイスを食べ終えた悠雅が私のほうをじっと見ていた。