クールな野良猫男子には逆らえない。

そして、「ああ、もう」と苛立ったように言って髪をかき上げる。


「俺だってあんたに隠し事なんかしたくない。でも友達を裏切るわけにはいかないだろ。どうすりゃよかったんだよ」


友達、という言葉に私ははっとした。
悠雅とあの子は、本当に友達なのだろう。私には親しい男友達がいないからイメージしにくいけど、もし菜々が男で、悠雅と同じような状況になったとしたら、私もきっと同じことをするはずだ。


私は自分の子供っぽい言動を反省した。
そのせいで悠雅を傷つけてしまったことも。


「……ううん、私のほうこそごめんね。勘違いして酷い態度とって……」


悠雅の腕にそっと触れる。
悠雅は私を振り向き、驚いたように目を見開いて、腕に添えられた私の手に自分の手を重ねた。