クールな野良猫男子には逆らえない。

そう思った私は、悠雅の横を通り過ぎて自分の教室へと歩き出した。


「おい」


背後から悠雅の声がしたけど、無視して立ち去る。
悠雅は追いかけて来なかった。




それから家に帰った私は、疲れ果てて自分の部屋のベッドに倒れ込んだ。


もう何も考えたくない。
考えると、悠雅と今朝の女子生徒が抱き合っている姿ばかり頭に浮かんできて、苦しくなる。


悠雅が、あんなことを平然とする人だとは思いたくない。
何か理由があるのだと、私はまだ悠雅のことを信じようとしている。
だけど、それならなぜ理由を話してくれないのか。
私は悠雅にとってその程度の存在なのだろうか。


ひとりで悶々としていると、インターホンが鳴った。
だが、私は無視した。もう一歩も動きたくなかった。