クールな野良猫男子には逆らえない。

私が何も言わず黙り込むと、田上くんはもう一度口を開いた。


その時だった。


「何してんの」


聞き慣れたその声に、びくりと肩が震える。
振り向くと、僅かに息を切らした悠雅が、私達を睨み据えていた。


悠雅は大股でこちらに歩み寄り、私と肩を並べると田上くんを冷たい目で見下ろした。


「こいつに何の用?」


まるで私は自分のものだと言わんばかりに堂々と喧嘩を売る悠雅に、田上くんは一瞬怯んだが、やがて勝ち誇ったように睨み返す。


「用ならもう済んだよ。じゃあね、瀬戸さん」


田上くんは私に笑いかけて、踵を返した。