クールな野良猫男子には逆らえない。

「瀬戸さん……さっき、あいつのこと見てたよね……」


田上くんは遠慮がちに口を開く。


「あいつ?……悠雅のこと?」


見られていたのか。
何だか恥ずかしくなって顔を俯けた私に、田上くんは言った。


「昨日、街であいつを見かけたんだ。女の子とふたりきりだった。……これ、見て」


そう言って、スマホの画面を私に見せる。
そこに映った画像を見て、私は息を呑んだ。


……悠雅が、今朝の女子生徒と抱き合っている。


悠雅はこちらに背を向けていて顔は見えないが、彼の背中に手をまわしてしがみついている女子生徒の肩を、確かに抱いていた。


鼓動が速くなり、スマホの画面から目が離せなくなる。