昼休み、職員室からの帰りに渡り廊下を歩いていた私は、楽しそうに笑う女子生徒の声を耳にして、思わずそちらに目をやった。
……悠雅だ。
悠雅が4人の女子生徒に囲まれて、中庭のベンチに座っている。
その中のひとりは美咲ちゃんで、悠雅の隣を陣取って彼の腕にしがみついている。
だけど、美咲ちゃんの側に立つ女子生徒の姿を見て、私は足を止めた。
あれは、今朝悠雅に話しかけてきた女子生徒だ。
美咲ちゃんの友達だったのか。
それなら、美咲ちゃんと同じ香水をつけていたとしてもおかしくはない。
きっと、昨日悠雅は美咲ちゃんと会って、あんなふうに美咲ちゃんが悠雅にしがみついてきたのだろう。
たったそれだけのことだ。

