クールな野良猫男子には逆らえない。

「悠雅」


聞き慣れない声がして、声の主を見ると栗色の髪を背中まで伸ばし、長い爪に桜色のネイルを施した、モデルみたいにスタイルのいい女子生徒が立っていた。


彼女は悠雅の元まで歩み寄り、花が咲いたように微笑んだ。


「おはよう。昨日はその……色々と、ありがとね？」


「……ああ」


ふたりの会話から、昨日悠雅が会っていたのは彼女だと確信した。
だけど私がもっと驚いたのは、彼女から昨日悠雅の服から漂ってきたものと同じ香水の香りがしてきたからだ。


……美咲ちゃんの香りではない。
ということは、悠雅と香りが移るほどの距離にいたのは、彼女だということだ。