クールな野良猫男子には逆らえない。

「……いいの?ほんとに行くよ?」


せっかく人が覚悟を決めたのに、そんなことを言って迷わせないで欲しい。


そう言いたくなる気持ちを堪えて、私はこちらを見下ろす悠雅の瞳を見つめ返した。


「私は大丈夫だから、行ってきて」


「……わかった」


そう言うと、悠雅は朝食もろくに食べずにさっさと出て行った。
その間、彼は決して私のほうを見ようとはしなかった。


悠雅がいなくなり、静まり返った室内に時計の秒針の音だけが響き渡る。


家事を終えた私は何をするでもなくソファの上に寝転がっていた。