クールな野良猫男子には逆らえない。

「……どんな奴?まさか、今日告白してきた奴?」


私は悠雅の態度に戸惑いつつ、否定した。


「違うよ。田上くんは別のクラス。その席の人は、あんまり話さないからよく知らないけど、普通に明るくて元気な人だよ」


どんな奴と言われても、隣の席というだけで特に親しいわけでもないから、こういう印象の人、というだけの感想しか出てこない。


そんな私の答えに満足したのか、悠雅はふうと息を吐いて、改めて教室内をぐるりと見渡す。


「……いいな」


「え?」


悠雅の小さな呟きを聞き逃さず、問いかける。


「俺もあんたと一緒に授業受けたかった」


悠雅はどこか寂しそうな声でそう言って、机の上の落書きをそっと指でなぞった。