クールな野良猫男子には逆らえない。

「……わかった。田上くんとは会わない。向こうも、もう私とは話したくないだろうし」


田上くんには悪いことをしてしまったが、どのみち断る予定だったのだ。
田上くんも私のことはさっさと忘れて、次の恋に進んだほうがいいだろう。


そんな私を見ていた悠雅は満足そうに目を細め、私の頭を撫でた。


「男には気ぃつけろよ。いつまでも俺が守ってやれるわけじゃないんだからな」


悠雅の言葉に、心臓が大きく脈打つのを感じた。


……やっぱり、悠雅が今私の側にいてくれるのはただの気まぐれで、いつかはいなくなってしまうんだろうか。
私の側を離れて、美咲ちゃんの隣に帰るのだろうか。


そんなことを考えていたら急に心細さに襲われて、私は気がつくと悠雅のブレザーの裾を掴んでいた。


そのまま黙り込む私に、悠雅は落ち着いた声で言葉をかけた。


「……俺を引き止めたいなら、それ相応の覚悟をしてて」


そう呟き、私が指先の力を弱めるとこちらを見ずに去っていった。


その背中を見つめながら、私は胸が切なく疼くのを感じていた。