クールな野良猫男子には逆らえない。

「……手、離して。田上くんに謝ってくる」


熱くなる頬を隠すように下を向いた私に、悠雅が不満そうな声を漏らした。


「駄目。俺の言うこと聞いてよ」


「……」


「お願いだから、行かないで」


ふいに悠雅の声のトーンが変わった気がして顔を上げると、悠雅は寂しそうに私を見つめていた。
まるで私にすがりつくみたいに、甘えるように。


悠雅のこの目に、私は昔から弱い。
普段はクールなくせに、こういう時だけ昔の面影を見せるのだから、タチが悪い。


それでも私には、悠雅を突き放すことなんてできなかった。