クールな野良猫男子には逆らえない。

「あんた、誰?」


振り向くと、悠雅が私の肩を抱きながら鋭い目付きで田上くんを見ていた。
なぜか、いつもよりも不機嫌そうに眉間に皺を寄せている。


悠雅に睨まれた田上くんは、案の定怯えたように顔を歪ませ、蒼白になっていた。


「ちょっと悠雅、田上くん怖がってるでしょ?」


私は可哀想なほど怯えきった田上くんを隠すように腕を広げて、悠雅の前に立ちはだかる。


悠雅はそんな私を冷めきった目で一瞥した後、私の後ろの田上くんに言った。


「悪いけど、こいつ俺のだから。誰にも渡す気ないし、さっさと諦めて。じゃ」


さらりととんでもないことを言って、悠雅は私の手首を掴んで強引にその場から連れ出した。