クールな野良猫男子には逆らえない。

「あ、よかった。ちゃんと着るもの用意したんだね」


言いながらお皿をテーブルに置く。
準備を終えて、私は「いただきます」と手を合わせてからお皿にかけられたラップを外した。


悠雅は箸で器用に切り分けたハンバーグを口に運び、その拍子に唇についたデミグラスソースをぺろりと舐めとった。


「……美味い」


今まで何を食べても無反応だった悠雅が、初めて感想を言ってくれた。
私はほっとして、頑張って作った甲斐があったと嬉しくなった。


「悠雅、ハンバーグ好きだったよね。お母さん達に隠れて、こっそり私の分を分けてあげてたの、憶えてる?」


懐かしさに目を細めながら尋ねると、悠雅は穏やかな表情で頷いてくれた。


「……憶えてる。あの頃が、今まで生きてきた中で一番幸せだった」


さらりと放たれたその言葉は、重い意味を秘めていた。
……それはつまり、今は幸せじゃないということだろうか。