悠雅と別れて教室に向かうと、クラスメイトの女子生徒達がわらわらと私の周りに集まってきた。
彼女達とは特に親しいわけでもなく、普段はあまり話さないのに、急にどうしたのだろう。


「ねぇ、瀬戸さんってさ……1年の碓氷くんと仲良いの?」


女子生徒のひとりが口火を切る。
皆、興味津々といった表情でこちらを見ていた。


「今日、碓氷くんとふたりで登校してきたんでしょ?さっきも、中庭で碓氷くんと1年の子と3人で、なんか修羅場っぽい感じだったって聞いたけど」


クラスメイトにまで見られていたのか。
どう答えたものか、私は考えを巡らせた。


さっきは悠雅の気持ちも考えず、勝手に姉だと名乗ってしまったけど、再会した時はもう話しかけるなと言われたのだ。


だが、ここで嘘をついたらさらに面倒なことになりそうで、仕方なく真実を話すことにした。