クールな野良猫男子には逆らえない。

「何?じゃないよ。柚華、最近変じゃない?ぼーっとしちゃってさ……なんか悩みでもあるの?」


そう言って、私の顔を覗き込んでくる。
私はその視線を避けながら、驚いたように目を見張って、また笑顔を作った。


「え?そんなふうに見えた?ほんとに何でもないよ。ごめんね、心配かけちゃって」


菜々はしばらく私をじっと見つめていたが、やがて視線を逸らして背を向けた。


「……何もないならいいけどさ」


「……菜々?」


菜々は自分の席に戻っていき、そこで別の友達と楽しそうに会話をしている。


……最近、菜々と距離ができた気がする。


徐々に一緒にいる時間が減っていき、菜々は別の子と話すことが多くなった。


社交的な菜々と違って、私には菜々以外に親しい友達はいない。


でも、私はいつも通り上手くやれているはずだ。


いつも笑顔を作って相手に合わせ、なるべく自己主張はしない。
そうしていれば、お父さんもお母さんも、私のことを「良い子」だと褒めてくれた。


だから私は今も、「真面目で優しい優等生」を演じている。