「何か食べなきゃ駄目だよ。何食べたい?今からなんか作るから」


そう言ってドライヤーのスイッチを切った私は、ドライヤーをしまってエプロンを手に取り、冷蔵庫を開けた。


……しまった。
一人きりだからと適当な食生活を続けていたせいで、食材のストックがあまりない。
悠雅が来ると知っていたら、思いきり豪華な食事を用意したのに。


冷蔵庫を前にして固まった私に、悠雅がリビングから声をかける。


「メシなんて、水とパンがあればそれでいい」


……もしかして、ずっとそんなものばかり食べてきたのだろうか。
悠雅のお父さんは一体何をやっているのだろう。
何度も悠雅が家を出ている時点で、悠雅とあまり上手くいっていないのではないかとは思っていたけれど……。