クールな野良猫男子には逆らえない。

悠雅をリビングに通し、「今お茶淹れるね」と声をかけてキッチンへ向かう。
そして、悠雅が子供の頃によく飲んでいた砂糖とミルクたっぷりのホットコーヒーを淹れて、ソファに座った悠雅の前に置いた。


悠雅はコーヒーには手をつけず、私に無言で紙袋を差し出す。


「え……何?」


訝しみながら中を覗くと、この間悠雅に貸したお父さんの服が丁寧に折り畳まれて入っていた。


「わざわざありがとう。……今日は、これを返しに来たの?」


私が無意識に笑顔を作って聞くと、悠雅はコーヒーを口に含んで「熱い」と文句を言った。


「フーフーしてあげようか?」


子供の頃の癖で思わずそう言ってから、また無神経なことを言ってしまったかもしれない……と、自分を恥じた。


だが、悠雅はコーヒーの入ったマグカップを私に差し出し、「して」と言った。
私は自分で言い出しておきながら目を丸くしたが、カップを受け取ってフーフーと息を吹きかけた。