クールな野良猫男子には逆らえない。

「柚華ってさ、人を見下してるよね」


息が詰まって、身動きが出来なくなる。


私が、人を見下してる?
菜々には私がそんなふうに見えるの?


「いつも人に合わせて優しさの押し売りして、私は聖人君子ですって顔してる。そういうの、はっきり言ってウザい」


鋭い言葉に胸を抉られる。
心臓がバクバクと激しく脈打ち、背中に嫌な汗が流れた。


ーー気付かれていた。
私がずっと「優等生」を演じていたこと。


「……違う……私は、ただ……みんなに喜んで欲しくて……」


スカートの裾をきつく握りしめ、何とか言葉を紡ぐ。


だが、菜々ははあっと大きく溜息をつき、不愉快そうに私を見た。