だが、私はキスどころではない。
ここは通勤や通学途中の人々が行き交う、歩道のど真ん中だ。
私は悠雅の胸を手のひらで押して「こんなとこでするのやめて」と怒るが、頬が熱いのは怒りのせいではなかった。
それを理解している悠雅は、小首を傾げて私を見つめる。
「元気出た?」
「……出たよ。すごく元気になりました。ありがとう」
言っているうちに怒りが消え去り、最後は素直にお礼の言葉が出てきた。
悠雅はそんな私の髪を撫でて、目を細めながら微笑む。
「……俺は、もうどこにもいかないよ。柚華の飼い猫になったんだから」
わざと冗談めいた言い方をするところに、彼の不器用な優しさを感じた。
ここは通勤や通学途中の人々が行き交う、歩道のど真ん中だ。
私は悠雅の胸を手のひらで押して「こんなとこでするのやめて」と怒るが、頬が熱いのは怒りのせいではなかった。
それを理解している悠雅は、小首を傾げて私を見つめる。
「元気出た?」
「……出たよ。すごく元気になりました。ありがとう」
言っているうちに怒りが消え去り、最後は素直にお礼の言葉が出てきた。
悠雅はそんな私の髪を撫でて、目を細めながら微笑む。
「……俺は、もうどこにもいかないよ。柚華の飼い猫になったんだから」
わざと冗談めいた言い方をするところに、彼の不器用な優しさを感じた。

