クールな野良猫男子には逆らえない。

私達はお互いの顔を見つめて、はにかみながらキスをした。


「おやすみ、悠雅」


私は改めて悠雅の頭を抱きしめると、安心して目を閉じた。


「おやすみ、柚華。……誕生日おめでとう」


悠雅の優しい声がして、私は心地いいまどろみの中に意識を委ねた。




その夜、夢を見た。


私と悠雅が、生まれたばかりの子供を抱いて穏やかに微笑んでいる。


私達がずっと憧れていた幸せな家族の姿が、そこにはあった。




目を覚ました私は目尻から伝う涙を指で拭い、隣で眠る悠雅の顔を見た。
伏せられた長いまつげのふちから一筋の涙がこぼれ落ちるのを見て、私は悠雅も同じ夢を見たのではないかと思った。