「……ねぇ悠雅、10年前に書いた手紙には何が書かれてたの?」
手を繋いだまま並んで街並みを見下ろしながら、私は尋ねた。
夕陽はもうほとんど沈み、辺りは暗くなっていく。
何も答えない悠雅の顔を覗き込むと、悠雅は「もうとっくに教えたよ」と言ってそっぽを向く。
「どういうこと?教えてよ、悠雅」
私がしつこくせがむと、観念したのか悠雅は頬を赤く染めながら、ぼそっと言った。
「……いつになるかわからないけど、俺が暗闇を克服できたら、結婚してくれって……未来のあんたに向けたプロポーズだよ」
「……ほんとに?」
私は驚きとともに嬉しさで飛び跳ねたい気分になった。
「その頃から、私のこと好きでいてくれたんだね」
「……聞かないの?俺が暗闇を克服できたかどうか」

