悠雅は抱えている箱を指さす。


「これ、掘り返しに来た。今日で10年だろ?」


悠雅も今日がタイムカプセルを掘り出す日だと、憶えていてくれたのだ。


私が嬉しくて涙を堪えていると、悠雅が私に近付き、顔を寄せて囁く。


「……嘘。ほんとは、あんたに会えるんじゃないかって期待して、今日ここに来た」


「え……?」


別れを切り出したのは悠雅のほうなのに、なぜ今更私に会いに来てくれたのだろう。