夕暮れの街並みを歩きながら、タイムカプセルのことを思う。
子供の頃にタイムカプセルを埋めてからちょうど10年後。それが今日なのだ。


久しぶりに悠雅の手紙を読み返そうという軽い気持ちで神社へ向かい、ご神木の辺りまで来て私は絶句した。


タイムカプセルが掘り返された跡がある。
土の中を探ってみたが、銀色の箱は見当たらない。


私はわずかな期待を込めて周囲を見渡した。
だが、境内に人影はなく、しんと静まり返っている。


……悠雅がここに来たのだろうか。
だとしたら、私の手紙を読んでくれた?
そしてタイムカプセルごと持ち帰ったのだろうか。


もう少し早く来ていればよかった。そうしたら、悠雅に会えたかもしれないのに。


そこまで考えて、はっとする。
もう悠雅のことは吹っ切ると決めたじゃないか。