それとも、まだ悠雅の面影を追いかけてしまっているのだろうか。
あれからもう何年も経つのに、あの頃毎日触れていた悠雅の柔らかい髪の感触や、普段クールなのにたまに照れて赤くなる顔や、私を抱きしめる腕の力強さを、今でも鮮明に思い出してしまう。


でも、悠雅のことを思い出して涙を流すことはなくなった。
自分では吹っ切れたと思っているんだけど、お母さんや奈々からはそうは見えないらしく、今でも時たま心配されることがある。


今日は私の20歳の誕生日だ。
いい加減周りに心配をかけないようにしっかりしないといけない。


菜々や大学で知り合った仲のいい友達と誕生日パーティーを楽しんだ後、私はプレゼントの山を抱えて一度マンションに戻り、プレゼントを部屋に置いてふうと息をついた。


そして、「今日は私が柚華のために夕飯作るからね」と言ってわざわざ仕事を休んでくれたお母さんに「ちょっと散歩してくるね。すぐ戻るから」と声をかけて、再び外に出た。