あれから数年後。


私は高校を卒業して大学生になっていた。
菜々とは大学が離れ離れになってしまったけど、今でも仲良くしているし、何でも本音で語り合える本当の親友になった。


お母さんは今、新しい恋をしている。
前に相手の人に会わせてもらったけど、優しそうな良い人だった。
今度こそ別れないでね、と念を押すと、お母さんは大丈夫よ、と言って幸せそうに笑った。


私はというと、将来教師になるという夢を見つけて勉強漬けの日々を送っているが、毎日とても充実していて、つらくはない。


ただ、あれから何度か男性から告白されたりもしたけど、どうしても悠雅以上に好きになれる人と出会えなくて、結局今も独り身を貫いている。


菜々からは「もういい加減妥協して新しい恋したら?」と呆れられるが、あのお母さんをずっと側で見てきた私は、どうしても恋には慎重にならざるを得ないのだ。