マンションに戻った私を見て、お母さんは叱るでもなく驚くでもなく、「ひどい格好。早くお風呂入っちゃいなさい」と、子供が泥だらけで帰ってきた時みたいに優しい眼差しを向けながら言った。


私は「うん」と頷き、何だか可笑しくなって笑った。
こんなに素直に笑ったのは久しぶりのことだった。


その夜はタイムカプセルの箱を抱きしめて眠った。
硬い箱と一緒に寝るのは寝心地がいいとは言えなかったけど、そうしていればまた悠雅の夢を見られるんじゃないかと思ったからだ。


だが、結局その日から、悠雅の記憶を夢に見ることは一度もなかった。
それでも、私達は目に見えない縁で結ばれていると信じた。