「タイムカプセル?」


まだあどけない顔立ちの悠雅が、不思議そうに首を傾げた。


「そう。近くに神社があるでしょ?あそこのご神木の近くに埋めるの。そして10年後に掘り返す。楽しそうでしょ?」


両親が毎日のように喧嘩をする中、私は幼い頭でふたりがまた離婚する可能性を感じとっていた。
こんなこと考えたくはないが、ふたりが離婚すれば私と悠雅は引き離されるかもしれない。
そんな時に思いついたのが、近所の神社に伝わる縁結びの儀式だった。


クラスメイトが都市伝説のように語っていたのを聞いただけだから、本当に効果があるのかは謎だけど、今は藁にもすがりたい気持ちだった。


その儀式とは、縁を結びたい相手とお互いに大切な物を神社のご神木に捧げ、願い事を祈ると、ふたりは切れない縁で結ばれて、決して離れることはないというのだ。


大切な物をご神木に捧げるというのがいまいちよくわからないが、知恵をしぼった結果、タイムカプセルという形でご神木の近くに自分の宝物を埋めようと考えた。


私の提案に悠雅はふたつ返事で頷き、10年後の自分に手紙を書いて、その手紙とそれぞれの宝物を頂き物のお菓子が入っていた鉄の箱に入れた。


私達は手を繋いで神社へ行き、辺りに人がいないことを確認するとご神木の近くにスコップで穴を掘って、その中に箱を埋めた。