クールな野良猫男子には逆らえない。





その夜、私は不思議な夢を見た。


薄暗い神社の境内で、私は一心不乱にスコップで土を掘り返していた。


そこは樹齢100年とも言われる大きなご神木の近くで、やがてスコップに硬い何かが当たり、土を退けると銀色の鉄の箱が現れる。


……タイムカプセルだ。


そう思った時、私ははっと目を覚ました。
辺りを見回し、ここが自分の部屋だと確認する。


「……変な夢……確か、前にも……」


そうだ。
いつだったか、以前も自分ではない違う誰かの記憶を見ているような、奇妙な夢を見たことがあった。


あの時は、真っ暗な部屋でベッドに潜り込み、「お姉ちゃん」に助けを求めながら泣く夢と、前のお父さんに何かを頼まれる夢だった。


前のお父さんは、「あの子には会うな」「これ以上俺の幸せを奪わないでくれ」と言っていた。


そこまで考えて、私はある可能性に気がつく。
ありえない話だが、私には確信があった。