「寝る」


一言言って、身体を丸めた姿勢で目を閉じる。


「え、寝るの?」


余程疲れていたのか、悠雅は私の言葉にも反応せず、すぐに寝息を立て始めた。


私は慌てて和室の押し入れから毛布を取り出し、悠雅にかけてあげた。
その時に悠雅の顔を覗き込み、背が伸びただけではなく顔立ちも大人っぽくなったな、と思った。


結局、悠雅はなぜうちに来たのだろう。
今も父親と暮らしているはずだけど……喧嘩でもしたのかな。
そもそも、どうしてうちの住所を知っていたのかも謎だ。


私は床に腰を下ろして飽きることなく悠雅の顔をずっと見つめていたが、やがて自分もうとうとし始め、気がつけば眠ってしまっていた。