クールな野良猫男子には逆らえない。

確かに、悠雅がなぜうちの住所を知っていたのかは疑問だった。


でも前のお父さんの再婚相手……悠雅の新しい継母にあたる人は、うちの住所を知っていた。
ということは、悠雅は継母から住所を聞いてうちを訪ねたのだろうか。
だが、継母はなぜわざわざお母さんに住所を聞き出したのだろう。
大事な話があるというのは、一体何なのか。


「悠雅、私が留守の間にうちにいたのよね?」


突然そう聞かれて、私は一瞬答えあぐねた。


いくら元姉弟といえど、親に黙って男を家に上げたのだ。悪いことをしているという自覚はあった。
だが、もう隠す必要もないだろうと思った私は、素直に頷いた。


「……そう。私は貴方や悠雅を信じているから、親に顔向けできないようなことはしていないと思うけれど……本当に、悠雅のことが好きなのね?」


射るような真っ直ぐな視線を向けられる。
私はもう嘘はつかなかった。


「……うん。私は、悠雅が好き」


お母さんは確かめるように私の目をじっと見つめ、しばらくしてふうと息を吐き出した。