クールな野良猫男子には逆らえない。

菜々はそう言うと私の手を引き、トイレから連れ出した。
しばらく歩いてから手を離し、戸惑いを隠せない私に向き直る。


「やっと本音で話してくれたね」


意外にも、菜々は晴れやかな顔で私に笑いかけた。


「さっきはあの子達が勝手なこと言ってごめん。それから……ずっと、無視してごめんね」


菜々はそう言うと、私に向かって深く頭を下げた。
私は瞠目し、菜々の変化をどう受け止めたらいいかわからなくて、立ち尽くした。


「私、柚華が本音で話してくれないのがずっと嫌で、拗ねてたの。ほんとは柚華と一緒にいたかった……だけど、意地張ってなかなか素直になれなくて。ずっと悩んでたけど……」


菜々はそこで一度言葉を切って、私の目をじっと見つめた。