クールな野良猫男子には逆らえない。

あれから悠雅のクラスメイトや担任の先生に悠雅がどこに転校したのかを聞いたけど、誰も彼の行方を知らなかった。
先生ですら、詳しい話は教えてもらえなかったという。本当にそんなことがあるのだろうか。
先生が嘘をついている可能性も考えたが、私には判断ができなかった。


そこまでして徹底的に私から離れようとする理由は何なのか。
考えても、答えは出ない。


私は毎日悠雅からのメッセージが届いていないか、頻繁にスマホの画面をチェックするようになった。
だが、求めている名前が画面に映ることはなく、ただ時間だけが過ぎ去っていった。




「あれがトリュフ、あれがマスクメロン……」


私は自分の部屋の窓から夜空を見上げた。
いつか、悠雅とふたりで夜空を見上げて、星に名前をつけたことを思い出す。


思えば、本当に悠雅が考えた星の名前は変な名前ばかりだ。
だけどそれが可笑しくて、私の唇は自然と笑みを刻む。


悠雅も、あの星を見上げて私との思い出を思い出してくれているだろうか。


「悠雅に、会いたいなぁ……」


今、悠雅はどこにいるんだろう。
彼が名付けた星に手を伸ばすけど、届かない。
私の手と星の途方もない距離が、まるで今の私達のようで、私は涙を流しながら笑った。





そして、夏休みを目前に控えたある日のこと。