そんなはずはない。
そんなこと、私は一言も聞いていない。


そう思ったけど、その時私はようやく、自分が今の悠雅のことを何一つ知らないことに気付いた。


なぜ、もっと悠雅の話を聞いてあげなかったのだろう。


お父さんとうまく行っていないんじゃないかと心配してはいたけど、悠雅が何も話さないから、聞かないでおこうと思った。
だけど、無理やりにでも聞くべきだった。
そうしたら、突然悠雅が私に別れを告げた理由だって、わかったかもしれないのに。


それとも、悠雅は転校することが決まったから、私に別れを告げたのだろうか。
いや、どれだけ遠く離れたって、今は連絡手段もたくさんあるし、別れる必要なんてない。無力だった子供の頃とは違うのだ。