別に、お母さんに言われて「優等生」を演じるようになったわけじゃない。
私が勝手に、みんなに喜んで欲しくてやっていただけのことだ。
お母さんは何も悪くない。
こんなのはただの八つ当たりだ、そう思うのに、一度溢れ出した想いはもう止められなかった。


「勝手なことばかり言わないでよ!私はほんとはずっと無理して笑ってたの!お母さんのわがままに付き合わされて、もううんざりだよ!」


突然起き上がって叫んだ私を見て、お母さんは衝撃を受けたように身を固くした。


「お父さんと離れ離れになって、やっと新しい家族ができたと思ったら、また引き離されて……それなのにお母さんは仕事ばっかりで、私のことなんか全然見てくれない。ほんとはずっと寂しかった……」


言いながら、ぼたぼたと頬を涙が伝った。
お母さんの前で泣くのは、一体何年ぶりだろう。