「最後のお願い。……俺のこと、忘れて」


なんて、残酷な人なんだろう。


私は止まらない涙をそのままにして、悠雅を見上げた。


もうこんなに側で悠雅の顔を見ることは、二度とないのかもしれない。
だったら、できるだけ悠雅の顔を目に焼き付けておきたい。
それなのに、涙で視界がぼやけて大好きなその顔がはっきりと見えない。


「……悠雅……」


そんなお願い聞きたくない。
そんなお願いを叶えるために、美咲ちゃんと別れてと頼んだわけじゃない。
貴方に、側にいて欲しかったから。
私だけを見ていて欲しかっただけなのに。


言葉にならない想いが、涙になって溢れ出す。


けれど、今更私が何を言っても、悠雅の心には届かないと頭ではわかっていた。