クールな野良猫男子には逆らえない。

「……うそ……」


「嘘じゃない」


ようやく絞り出した私の反論にも、悠雅は冷めた声で無慈悲な言葉を告げるだけ。


もう無理だ、悠雅には私の言葉も気持ちも何一つ届かないと、頭の隅で誰かが言う。
もう私達は終わったのだと、本当はもう気付いていた。


だけど私は諦めきれなくて、ロールケーキの入った紙袋を放り出し、子供のように悠雅の胸にしがみついた。


「嫌だ……いなくならないで、悠雅……」


悠雅の白いワイシャツを皺になるくらい強く握りしめる。
私の頬を流れる涙が、握りしめた布地に染みを作っていく。