クールな野良猫男子には逆らえない。

「悠雅!」


悠雅が、スマホを耳にあててこちらを振り向く。
誰かと電話中だったのか、とようやく気付いた私は口を閉ざした。
悠雅は何も言わず通話を切り、スマホをポケットにしまってこちらに向き直る。


「……いいの?電話……」


「いい。もう用件は済んだから」


ぶっきらぼうにそう言って、悠雅は私を見た。


……何故だろう。昨日までの穏やかな雰囲気が、今の悠雅からは全く感じられない。
まるで再会したばかりの頃に戻ったみたいに、冷えた眼差しで私を見ている。


「何?」


何かあるならさっさと言えと言わんばかりに、溜息混じりの声で悠雅が聞いた。
私は一瞬躊躇したが、ここで怯んでは行けないと気合いを入れ直した。