クールな野良猫男子には逆らえない。





ロールケーキの入った紙袋を持って学校へ向かい、1年生の教室がある校舎に辿り着く。


以前悠雅に教えてもらった彼のクラスを覗き見るが、探している姿はどこにも見当たらない。
仕方なく生徒のひとりを捕まえて悠雅のことを聞いてみる。


「え、碓氷?あいつならさっき出てったけど……まだその辺にいるんじゃない?」


お礼を言って、校舎内をくまなく探し回る。
やがて渡り廊下から外を見ると、中庭に見知った後ろ姿を見つけた。


慌てて校舎から中庭に降り、その背中に向かって叫んだ。