リビングへ向かうと、タオルを手にしたまま突っ立っている悠雅がいた。
髪は濡れたままで、髪の先からポタポタと水滴が落ちている。


「もう、何やってるの？早く拭かなきゃ風邪ひくでしょ？」


そう言って悠雅に近付き顔を覗き込むと、悠雅は私に向かってタオルを差し出した。


「……え？」


意味がわからず、困惑する。


「あんたが拭いて」


悠雅は相変わらず無表情のまま、私にタオルを押しつけてくる。


「……しょうがないなぁ。そこのソファに座って」


私に促されて素直に従う悠雅。
私はソファに座った悠雅の頭をタオルで包み込み、丁寧に水気を拭き取る。


俯いた悠雅はどんな顔をしているのだろう。
気になったけど、何となく気まずくて悠雅の髪を拭くことに集中した。