クールな野良猫男子には逆らえない。

「……あれは……悠雅の記憶……?」


まさか、そんなはずはない。
一緒に眠っていただけの相手の記憶を夢に見るなんて、ありえない。


「……学校、行かなきゃ」


とりあえず学校に行く準備をしなくては、と部屋に戻ろうとした時だった。


突然ガチャガチャと鍵を開ける音がして、「ただいま」という呑気な声とともにドアが開く。


「……お母さん……」


お母さんが大荷物を抱えて靴を脱ぎ、私に向かって白い紙袋を差し出す。


「はいこれ、お土産。……どうしたの?そんなびっくりした顔しちゃって」


お母さんはいつも通り、私に笑いかける。