クールな野良猫男子には逆らえない。

やがて視界がぐにゃぐにゃと歪み始め、再び目を開けると目の前に見覚えのある顔があった。


私の義理のお父さん……悠雅の実の父親だ。


「……が、前の妻のことを気にしている。出来れば彼女の不安の芽は全て摘み取っておきたい。だから、もうあの子には会うな」


苦しげに顔を歪ませた彼は、私に向かって頭を下げる。


「頼む。これ以上俺の幸せを奪わないでくれ」


何を言っているの?これは私の記憶じゃない……じゃあ、誰の記憶?


再び視界が歪み始め、頬を伝う濡れた感触で目を覚ました。


しばらくぼんやりと瞬きを繰り返して、はっとする。


「……悠雅?」