クールな野良猫男子には逆らえない。

だが、悠雅は緩く首を振った。


「まだ10年経ってないだろ。10年経ったら掘り返せばいい」


「……そうだけど……」


悠雅は不満そうに呟く私をなだめるように、目を開けて優しい眼差しを向けた。


「お願い」


そう言われてしまえば、何も言えなくなる。
でもそれは私達が交わした契約だからではなくて、私が悠雅の「お願い」に昔から弱いからだ。


「……わかった。10年経ったらね」


悠雅の指先が私の髪を梳く。
その心地良さに次第にまぶたが重くなってきて、私は悠雅の胸にしがみついたまま目を閉じた。


「……ごめんな、柚華」


眠りに落ちる直前、そんな声を聞いた気がしたけど、意識はすぐに闇の中に飲まれていった。